工程
① 楮刈り取り
細川紙は国産の楮(クワ科の植物)を原料とし、1月・2月頃に刈り取ります。楮のことを地元では「かず」と呼んでいます。
② 楮きり
収穫した楮は、2尺(約70cm)くらいに切りそろえます。3尺(約90cm)にすることもあります。
③ 楮かしき
楮を大きな蒸し釜の中に根元を下にして立て、楮を蒸します。
④ 楮むき
蒸しあがるとすぐに表皮をむきます。
⑤ 楮ひき
楮の黒い外皮を削り取って白皮にする作業です。黒皮や傷の部分を丁寧に取り除きます。良質な紙を作るために欠かせない作業です。
⑥ 楮煮
楮を釜で煮ます。釜が煮立ったら、ソーダ灰を入れます。成分の炭酸ナトリウムには、白皮を軟らかくして不純物を取り除く効果があります。白皮の繊維は、一本一本ほぐれるようになります。
⑦ 楮さらし
煮終えた白皮は、水につけて、あく抜きと日光漂白されます。篠竹で一本一本すくい上げ、ついているゴミや不純物をていねいに取り除いていきます。
⑧ 楮打ち
紙漉きのための材料になるよう、白皮の繊維をさらにほぐすために楮打ち棒で入念に叩きます。
⑨ とろ叩き
もう一つ紙漉きに欠かせない材料に、ねりがあります。トロロアオイという植物の根を叩いて抽出する粘り気のある液体です。ねりは、楮の繊維を水の中で程よく分散させ、浮遊させる働きをします。紙漉きの過程では、繊維をお互いにつなぎとめる作用があります。粘着力がないので、乾燥のときには紙を一枚一枚はがすことができます。
⑩ 紙漉き
漉き舟とよばれる水槽に紙の原料となる漉き水(水、楮、ねり)をいれ、均等に分散させます。漉き桁に漉き水をすくい上げ、何度か流し込み、漉き簀の上に均等に繊維が行きわたるように繰り返し揺らします。漉きあがった和紙は、かんだとよばれる紙床台へ移され、一枚一枚積み重ねられます。
⑪ 紙干し
脱水した紙を一枚ずつはがし、紙板に貼りつけ、天日で乾燥します。紙板で自然乾燥した紙には、板の木目が残るなど独特な風合いがあります。今日では、鉄板で乾燥することが多くなっています。
⑫ 紙そろえ
乾燥し終わった紙は、室内で選別し整えられます。無傷で上質な紙は一の紙、少しでもむらがあれば二の紙へと選り分けます。一枚一枚ていねいに確認していきます。